イトウショウのなんじゃもんじゃ

SILBERSTYLEのイトウショウのブログ

SILBERSTYLE

僕の生きる道

僕のバンド人生というものは、30歳になった今頃、何万人を熱狂させるステージに立って、変装なしじゃ街を歩けないくらい有名になって、音楽の教科書に載ってしまうくらい偉人と評されている。

 

はずだった。

少なくともバンドを始めた時から15年以上(というかつい最近まで)ずっとそんなことに、そんなことだけに想いを馳せながら、自分がそうだと信じた道を進んできた。

そしてその野心のほとんどをSILBERSTYLEというひとつのバンドだけに注いできたのは言うまでもないが、ちょうど去年の今頃だろうか、最後に出したCDのツアーファイナルを終えて、今後の活動、ひいては各々の人生について話し合う機会があった時に、これまで走り続けた道をさらに進んでしまうと足並みが揃わなくなってしまうかもしれない可能性に直面した。(もしかしたらこの危機は今までも潜在的にあったのかもしれないが、少なくとも僕の認識下に顕在したのはこのタイミングだった)

そしてご存知の通り、今年に入って僕たちは自分たちの歩く道や歩幅、スピードを完全に変えることで、少しでも長くこのバンドを続けることを選んだ。

 

おそらく4人の中で、この道に踏み出すことを最後まで躊躇し、現実から目を背け続けたのは僕だろう。

「周りのバンドマンに後ろ指さされてしまう」

「期待してくれていた関係者やお客さんに申し訳ない」

「何より過去の自分に卑下される」

いつも気にしていたのは誰かの目だ。そしてその目は過去の自分のものでさえあった。

 

そんな個人的な苦悩と葛藤で始まった2019年も気がつけば残り1ヶ月半を切った。

今、僕は清々しい気持ちでいる。

なぜなら、僕らの選択は間違っていなかったと確信できているからだ。

いや、始めから選択そのものに正解も不正解もなくて、選んだ道を誇らしく歩けるようになっただけのことかもしれないな。

いずれにせよ、そんな気持ちを確固たるものに決定付けた先日の2日間を、振り返ってみたいと思う。

 

 

2019年11月17日。

この日R.A.Dで行われたARUとTHIS MORNING DAYの一夜限りの復活ライブにて、僕はARUの一員としてステージに立たせていただいた。

1ヶ月前にこのイベントの開催がアナウンスされ、ファンの間ではにわかに話題を呼んだ一方で、時を同じくしてISAACとして親交のあったARUのゆういちさんから「当日、ベースを弾いてくれないか」というオファーが僕の元に届いた。

そもそもまともに弾いたことのないベースというパートに戸惑いもありながら、何よりARUに関しては対バンもしたことがなければ僕はただのファンということもあっていささか恐縮な話ではあったが、気がついた時には「よろしくお願いします」と返答していた。

ただ返事をしたその瞬間から当日のステージに上がるまで、「本当に僕で良いのだろうか」という不安に苛まれ、何度も逃げ出したくなった。

それでも最初の一音(盛大にミスりました)を鳴らした後は吹っ切れて、ほとんど記憶がないくらい無我夢中で45分(途中休憩もありながら)駆け抜けた。

文字通り夢のような時間だった。

たぶん1年前までの自分だったら変なプライドもあって、この機会を自ら断っていたかもしれない。(実際、去年まで「他所のバンドのサポートなんか死んでもやるもんか」と謎の意地を張って断っていた依頼もある)

それでも今年に入って時間だけじゃなく精神的にも余裕が出てきたおかげで、最初は飛び込むような気持ちで他のバンドのサポートもやらせてもらうようになって、「こんな自分も悪くないな」と思えるようになってきたところだった。

今まで長年避けてきた道を通ってみたら、思いのほか良い景色に出会えた。

そんな出会いも、4人で歩む道を変えたおかげだ。

 

そしてもちろん対バンのTHIS MORNING DAYはSILBERSTYLEとしても関わりが深いバンドだし、何ならメンバーの新堂くんがもともと所属していたバンドということもあって、メンバー同士で対バンするという変な楽しみもあったけど、

ゆういちさんがオファーをくれた時にひとこと「イトショウも元々トラスト(同じレーベル)のバンドだったからさ」と僕がそこに加わる意味を与えてくれたおかげで、自分なりにストーリーを投影しながらARUとしてステージに立つことができた。

失敗だらけだと思ってた音楽人生が、少し誇らしく思えた瞬間だ。

機会をくれたゆういちさん、ありがとうございました。

 

 

翌日はSILBERSTYLEとして同じR.A.Dのステージでライブだった。

R.A.Dで二日連続なんてこれまた一昔前ならよくあった話だが、二日間違うバンドとなると初めての経験だし、新鮮な感覚だった。

そして何より、この日がスケジュール上おそらく僕らにとって年内ラストの地元でのライブであり、もっと言うと年明け以降まだライブ日程が決まっていないということもあって、個人的にいつもと違う気持ちの高揚があった。

(もちろん、ライブスケジュールがないと言ってもバンドをやめるなんて話は毛頭なくて、まぁ個人のことだからわざわざSNSやWEB上では多くは書かないけど、やはり4人とも30歳という節目の年齢を迎えているからか、今それぞれの生活環境が目まぐるしく変わっている時期だということだけは伝えておく。)

 

この日対バンだったAOBAとも色々近況報告をした上で、Vo,Gt 金魚さんは当たり前のように来年以降も僕らが続けている前提で話をしてくれるし、それに対して不安そうな顔をした時には「じゃぁさ、このやり方だったらできるんじゃね?」と親身にあれこれ提案してくれるのが嬉しかった。(まぁ9割野球の話なんだけどさ)

繰り返すようだけど、もちろん僕ら自身もやめない前提で話し合ってきてはいたけど、じゃぁいざ先々のことで不安がないかと言えば嘘になる中で、こうやって「やめさせない」人がいてくれるのは本当に心強いし、自分のこともっと信じてやろうって思える。

それとAOBAが連れてきてくれたTHE GREEN JAMBOってバンドがこの日初顔合わせだったんだけど、僕らの前にぶっちぎりで良いライブしてて、しかもそれが僕らと全然違う戦い方をするから、僕は出番前に少しだけ不安に駆られた。

今の僕らに伝えられることなんてあるのかな、伝えられる立場なのかな、なんて風に。

ただ、この日僕らがしたライブって今の僕らにとって正直な姿勢であることは間違いなくて、その分伝わらない人には伝わらないんだろうなって思うくらい振り切っちゃってたんだけど、終わった後に楽屋でVo,Gtの山さんが「めっちゃよかったわ」って駆け寄ってきてくれてたのは死ぬほど嬉しかった。

伝わらんくてもしゃーないわ、これが本音だもん、って思ってた分、伝わった時の嬉しさは計り知れないものがあった。

あとシンプルにかっこいいって思ってた人にかっこいいって言ってもらえた時の喜び、久しぶりに味わったよ。

いや、正直今の僕らのスタンスや選んだ道ってのは、万人に理解してほしいなんて思ってもいなかったから、このタイミングで出会えて、しかもちゃんとお互い響き合って盃交わして仲良くなれたってことが奇跡なんじゃないかってくらい幸せに感じた。

昔からの仲間と新しい出会い、いろんな人の存在があって、改めてこれから自分たちが進む道、胸張って行こうって思えた。

2020年も前向きに生きていけるような、2019年地元での最後のライブだった。

 

 

ただの2日連続のライブかもしれないが、自分の過去も現在も未来にも、音楽人生を大きく意味付ける2日間だった。

自分にしか生きれない人生、自分にしか語れない人生があって良い。

そして生涯を通してその人生を愛して、味わってやろうと思った。

 

これからもSILBERSTYLEを、イトウショウをよろしくお願いします。

 

 

今日はここまで。

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